「………」
メタナイトは冷静だった
目覚めると見覚えの無い場所にいたがすぐに落ち着いた
あの残虐な死体を見ても取り乱すことは無かったし(怒りは覚えたが)、建物を放り出されても冷静だった

真っ先にザックの中身を確認し、ルールや参加者なども把握した
また、支給品が剣、しかもサイズも合っていたのも不幸中の幸運と言えるだろう
(だが…)

メタナイトには一つ、引っ掛かることがあった

(何のために………?)

少年は楽しげに、あの卑劣極まりないショーを繰り広げた
許し難いことだ。が、確かにその場を鎮める効果はあった
事実、その場の数十人は水を打ったように黙り込んだし、怒りを露わにしながらもあの緑の帽子の男は奴に逆らわなかった

(何故だ?目的ならあの時点で話せたはずだ)

話す必要が無いのか、それとも目的そのものが無いのか……

(まあいい。まずは情報収集だ)

見たところ、あの建物には複数の種族の生物がいた
恐らく自分の知らない事も知っているだろう
情報は有りすぎて困ることは無い

メタナイトは朝焼けを見据え、飛び立とうとして、やめた

(気配……誰だ?)
翼をはためかせ、近くの木の上に登って耳を澄ませる

「…はぁ…はぁ…」

森を駆ける小さな影
かなりスピードがある。常人ならば目で追うのも難しいだろう。だが…

「止まれ」

「うわぁっ!」

音も無く舞い降り、剣を突きつける
急ブレーキをかけ、ぺたんと尻餅をつく小さなシルエット

「や…やめてよ!戦う気は無いからさ!」

慌てふためき、両手をバタバタと振りながら必死に叫ぶのは…

(猿………?)

神経を張り巡らせ、ド真剣に相手に詰め寄る影と、いささかオーバーなリアクションを取り、やけに騒がしいコミカルな影

これが孤高の騎士、メタナイトとコンゴジャングルの小さな英雄、ディディーコングのファーストコンタクトだった

【名前:メタナイト(星のカービィシリーズ)
 健康状態:良好
   武装:コキリの剣(ゼルダの伝説 時のオカリナ)
  所持品:支給品一式
  現在位置:E7 エリア8の森
 第一行動方針:目の前の猿(?)と会話
 第二行動方針:情報収集
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:無し】

【名前:ディディーコング(ドンキーコングシリーズ)
 健康状態:良好
   武装:??
  所持品:支給品一式
  現在位置:E7 エリア8の森
 第一行動方針:目の前の人(?)と会話
 最終行動方針:??
 備考:かなり慌てている】